「忘れられない言葉の謎」 


 「私にまかせて下さい」

 と彼女は言った。
 
 東京での最後の夏、

 ツーリング途中の鹿児島で

 夜中接触事故にあい、小指の爪が砕けた。

 幸い近くに英語塾があり、

 塾長一家の家族の人達に助けられ、

 高校生になるお嬢さんに

 次の日ずっと介抱してもらった。


 夕方そこを離れる時、

 最後にもう一度新しい包帯に交換してくれた

 可憐な彼女の優しい言葉は、

 「任せて」だったのか

 「巻かせて」だったのだろうか?